
日々の暮らしの中、僕はいつどんな時に音楽を聴いているだろうと、ふと考えてみる。
家には大きなスピーカーがあるし、職場でもホワイトノイズ的なBGMとして音楽がかかっていることが多い。でも一番「きちんと」音楽を聴いているのはきっと、朝晩会社から家までの「歩いている時間」だと僕は思う。
今日はこれから何をしようかな、今日も一日大変だったな、とあれこれ考え事をしながら、音楽に耳を傾け、澄ませ、没頭する。この時間が何よりもの自分へのご褒美で、安定剤。
家に着くのが惜しくて、もう少しだけ散歩して帰ろうかな、なんて思ったりもするくらい気がつけば音楽を愉しみ、向き合っている自分がいる。
「移動中なんてまともに音楽を聞けないんだから、安いイヤホンでもいいでしょ」という人もいるが、僕の意見は真逆で「移動中」こそできる限りの視聴環境を整えたいなと思うのです。
改めてそんなことを考えるきっかけになったのは、以前、日々に溶け込む、ノイズキャンセリングワイヤレスヘッドホン「Bowers & Wilkins PX」という記事でご紹介した、イギリスの老舗オーディオブランド「Bower & Wilkins」。
今回また新たに製品をリリースされるということで実際に触ってみたところ「そうそう、こういうのを待ってました」という仕上がりだったので皆さんにもご紹介したいと思います。

複数新商品を送っていただいたので、順番にご紹介。まずは今回のラインナップのメインを張る「Bower&Wilkins PX7」から。
【商品リンク】
Bowers&Wilkins|ヘッドフォン

まるで某リンゴマークのメーカーのように、密閉感が高く空気を吸い込みながらゆっくりと開く箱。


箱の中にはグレーのキャリングケース。柔らかい素材で本体を包み込んでくれます。

上部にはポケットが付いているのでイヤホンコードを収納して持ち歩くことができます。


以前触れた「Bower&Wilkins PX」の後継として誕生した「PX7」。従来のデザインを踏襲しつつも柔らかな曲線的な丸みを帯びた、クセのないシンプルなデザインに変化しています。


僕が選んだのは「スペースグレイ」というブラックに近い色味のモデル。デザインと相まってどんなファッションやシーンにも溶け込みそうなヘッドホン。

ヘッドホン内部には装着する耳を支持するアルファベットが。
イヤーパッドはふわりと柔らかく、側圧も低めなので心地よく耳を包み込んでくれます。

ややマットな光沢があるハウジング部分には「Bower&Wilkins」の名前のみが潔く刻まれています。

「PX7」は耳を外側からすっぽりと包み込む、オーバーイヤー型のイヤーパッドを採用。外部の音を遮断し密閉された空間の中に極上の音場を作り上げます。ぴたっと吸い付くような程よい側圧で、音楽をかければ自分だけのライブハウスに早変わり。

最近では完全ワイヤレスのイヤホンが流行っていますが、どうしても音場の広さやダイナミックさという点ではドライバー径の大きなヘッドホンに部があります。
そして「Bower&Wilkins」という老舗オーディオブランドが作っているというだけあってその音の質は極上。
しなやかに跳ねるスネアのインパクト、層になって降り注ぐリバーブの残響、頭の奥までスコンとストレートに届くボーカルの透き通った声。
この立体感と解像度は「音作り」を超えて「空間作り」という概念に近いのかもしれません。

音量の調整、音楽のオンオフ。スマホとの連携はされているとはいえ、歩いている時などは直接ヘッドホンで操作をしたいという場面が多々あります。
その際大切なのは各操作系のレスポンス。しっかりと「押した」「反応した」ということが分かるといいのですが、ここが不明瞭だったり動かなかったりすると小さなストレスになってしまうんですよね。

「Bower&Wilkins PX7」の場合はそこを考慮しているのか、大きめでクリック感の大きいボタンを採用しています。見えずとも感触で操作ができるようなしっかりとした存在感のある操作系。

個人的にやっぱり嬉しいのはUSB-Cでの充電に対応しているという点。僕は身の回りのモノを全てUSB-Cに統一しており、ケーブルも一本しかないのでこれで充電できると助かるんですよね。
バッテリーの持続時間も長く、30時間の連続再生が可能です。完全独立型は4~5時間ごとにこまめな充電が必要になるので、一度の充電で長く使い続けられるというのはありがたいです。

この「Bower&Wilkins PX7」には周囲の雑音を消すノイズキャンセリング機能がついていて、より音楽に集中できるような設計になっています。
ノイズキャンセリングの強度は「High」「Auto」「Low」の三種類があり場面に応じて切り替えが可能で、切替時の音声も短く自然な流れで変更することができます。

強度は選べるもののノイズキャンセリングの強さ自体は全体的にそこまで強くはなく、衣擦れや車のエンジン音、カフェの会話などの生活感を少し和らげてくれる程度。
以前別のヘッドホンでノイズキャンセリング搭載のモデルを試したことがあったのですが、僕には少し強すぎたのか耳に圧迫感を感じ頭が痛くなってしまった経験があるので、正直これくらい優しい感じでいいのかなと思います。
そもそもオーバーイヤーで密閉度が高く、音楽をかけてさえしまえば周囲の音はほとんど気になりません。

このヘッドホンシリーズの中で気に入っているのは「着脱に合わせて音楽をコントロールしてくれる」機能。
とっても単純な話で、ヘッドホンを外すと音楽を停止してくれて、

ヘッドホンを付けると続きから再生してくれるというなんともシンプルで親切な機能です。いちいちスマホを取り出す必要も、ボタンを押すこともない。
これはぜひ全世界全てのヘッドホンに付けて欲しい機能ですね。

Bower&Wilkinsのイヤホンには専用のスマホアプリがあり、イヤホンの設定を行ったりソフトウェアのアップデートなどを行うことが可能です。

アプリ側から接続する機器を切り替えられたり、

ノイズキャンセリングのモードを変更したりすることができます。
デザインやアイコンがミニマルで、必要十分な感じが海外のメーカーらしく潔いと思います。
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今回「PX7」と同時にやや小さめサイズの「PX5」というノイズキャンセリングヘッドホンもリリースされることになりました。
こちらは「PX7」のように耳を覆う「オーバーイヤー型」ではなく、耳の上に乗せるタイプの「オンイヤー型」のヘッドホン。
ハウジングがコンパクトになったことによって、持ち運びやすく見た目もカジュアルに演出することができます。
着用していて思いましたが、寒い冬の季節にこそ耳当ての代わりになるヘッドホンはありがたいですよね。耳も心も暖めてくれる。

「PX5」にはスペースグレーとブルーの2色のカラーバリエーションがあり、こちらはブルーのモデル。内部にはソフトレザーが使用され柔らかい肌触りに。

「PX7」より一回り小型、かつ241gと軽量なので首元に下げておいても負担なく生活することができます。ファッションのアクセントして取り入れやすい一台ですね。

小型な分ドライバーサイズが小さく、オーバーイヤーのような没入感はありませんが、それでもやはりイヤホンとは一段違った音楽体験を味わうことが可能。
見た目のカジュアルさ・取り回しやすさを実現しつつ、音質へのこだわりも捨てたくない人向けのバランスの取れた一台だと思います。
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今回、ヘッドホンタイプの「PX7」「PX5」と同時にイヤホンタイプの「Bower&Wilkins PI4」もラインナップに追加されています。

この「PI4」は左右のイヤホンが繋がったネックバンドタイプのBluetoothイヤホン。最近ではそれぞれが独立した完全ワイヤレスイヤホンが人気になってきていますが、この「Pl4」を触って「ネックバンド式もいいな」と思ったポイントがいくつかあるので少し語ります。

まず言えるのは「音質」の部分。独立型のイヤホンはその構造上、左右のユニットに電池、通信ユニット、ボタン等必要な機能を全て詰め込まなくてはいけないため、どうしても音楽再生の要素に避ける物理的な容量が少なくなってしまいます。
顕著に現れるのはイヤホン内部のドライバー径。どうしても従来のイヤホンに比べるとまだ小さく弱いドライバーを搭載することになってしまうことが多いのです。左右のユニット同士を無線で繋げなければいけないのでラグが生じてしまうというデメリットの一つ。

一方、ネックバンド式のイヤホンはバンド部分に上記の機能を移動させることができるので、イヤホン部分にきちんと力を注ぐことができます。
この「PI4」も14mmの大型ドライバを使用し、小さいながらも十分パワフルでダイナミックな音楽を鳴らしてくれます。
やはり一般的な完全ワイヤレスと比べてしまうと音質面では圧倒的に分があるなと感じざるを得ません。

そしてこの「PI4」はイヤホン型でありながらノイズキャンセリングも搭載。耳の中に入れ込むカナル型の構造に加えて周りの雑音を低減してくれます。

バンド部についたこちらのボタンでノイズキャンセリングの強度を選択可能。

反対側のユニットでは曲送りや音量調節ができます。ヘッドホンシリーズ同様こちらもボタンが大きくわかりやすいので目で確認することなく操作できますね。

「PI4」のハウジング部分にはマグネットが内蔵されており、左右のユニットを近づけると「パチン」とお互いがくっつきます。
これは持ち運ぶ際にまとまって便利、という単純な便利さもありますがもう一つ役に立つ機能が。
それは自動再生/停止機能。
音楽を再生中でもユニットをくっつけると流れている音楽が止まります。

逆にマグネット部分を話すと音楽が再生されます。ヘッドホンの「PX7」の着脱連動再生機能を、イヤホンという形に落とし込んで実現したアイデア。
こういう行動に直結した機能は使っていて気持ち良いですし、恩恵を感じやすいですよね。

こちらもUSB-Cでの充電に対応。連続で12時間の再生が可能なバッテリーを積んでいます。
完全独立でここまで連続再生時間が長いものはないので、外で長時間作業をするような時はやはり便利ですね。

さらに実際に触ってみて意外だったのがその「軽さ」。
なんとネックバンド部分合わせて42gしかないというから驚きです。ほぼ空気ですね。
コンパクト・軽量が売りの完全ワイヤレスでもケースを入れると割と重くなってしまので、むしろネックバンド式にしたほうが実際は身軽なんじゃないかと思ったり。

まとめて鞄の中に突っ込んでおける手軽さ、左右どちらかがなくなる心配もありません。

音質が良くて、思ったよりもコンパクト。見た目や新しさではなく中身の良さで考えるなら「PI4」という選択肢はありだと思います。

ネックバンド式のイヤホンにはエントリーモデルの「PI3」という機種も用意されています。
ノイズキャンセリング機能こそ付いていないものの、マグネットでの着脱操作・USB-C充電等「PI4」の主要な機能は踏襲。

手軽にコンパクトに、音質良く曲を聴きたいという場合はこちらのモデルでも十分楽しむことができると思います。

ノイズキャンセリング付きの「PI4」が50,000円(税抜)なのに対し、「PI3」は30,000円(税抜)なので、自分に必要な機能を考えて選んでほしいですね。
また、今回発売した4つのモデルはBluetoothの通信方式に最新の「aptX adaptive」という規格が使われているため、ゲームや動画など動きのあるものを視聴していてもラグがなく自然に再生できるというのも嬉しいポイント。
音楽や映像を聴くだけでなく、創る人にもオススメできるシリーズです。

忙しく自由な時間が取れない日々の中、一日働いて家に帰ったらそりゃスマホを触りたいし撮り貯めた録画を見ながらくつろぎたい。
他にもやりたいことがたくさんある中、集中して「音楽だけ」と向き合えるような時間って意外と少ないのかもしれません。
僕の場合は「朝晩の徒歩通勤」がじっくり音楽を聴いて、これから始まる一日の気分を上げたり、頑張った一日をねぎらってくれる大切な時間。
だからこそ、今一番良い環境で耳と心を喜ばせてあげたいと、僕は思います。
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朝、自宅から職場へ向かう途中、日々すれ違う多くの人々。
これは昔からの僕のクセなのですが、男女問わず何となく雰囲気が良いな、という人が向こうから歩いて来たら、すれ違った後、ついついその人の背中を振り返ってしまうんです。その人が振り向いてしまわないかドキドキしながら。
何故かというと、その人が「どんな鞄を背負っているか」を確かめたいから。
鞄は毎日纏う「ファッション」であり、同時に生活に必要なモノを持ち運ぶ「ツール」という一面も持ちます。
ノートとペンくらいしか入っていなそうな薄いトートバッグ、ロードバイクを漕ぐ背中に斜めにかかる光沢ある三角形のショルダーバッグ、これから旅行でも行くのかと思うくらいの大きな、サイドポケットに水筒が挿さったアウトドア向けのバックパック。
どんな鞄を使っているかで、その人の好みや思想、働き方や考え方が分かるような気がするのです。
鞄は、その人自身を形で表した分身ともいえる存在。
僕も色んなモノを持っているけれど、その中でも「鞄」というモノにはひときわ、こだわりと思いを持って選ぶようにしています。
ここ1年は自分の会社でモノづくりをしているので、読者の皆さんからも鞄、特に「リュックサックを作ってほしい」という意見をたくさんいただきます。
ただ、好きだからこそ、こだわっているからこそ、「コレ」という一つを作るのが難しい。
案は上がるものの、そのまま前に進まないということがこの1年間だけでも何度もありました。
しかし先日、「これだったら僕らのリュック、作れるかもしれない」と思う出会いがありました。

dripの活動と僕らのブログを見て声を掛けていただいた、「LEKT(レクト)」という名前のバッグブランド。
問い合わせがありそのHPを見た瞬間、きっとこのブランドの中の人と僕らが考えていることは近いに違いない、という確信めいた直感が僕の中に走りました。
モノトーンでミニマルなデザインでモノが揃えられたブランド「LEKT」。
とてつもない速さで変化している日々の流れを捉え、仕事とプライベートの境界線が無くなりオン・オフがボーダレスとなる社会を想定して作られたブランドです。
確かにここ数年で、スーツを着る男性の姿を見かけることも徐々に少なくなり、携えている鞄の形も手持ちから肩がけやリュックスタイルに変化をして来ています。
どんなシーンにも場所にも溶け込む、シンプルで角のないライフウェアライクなバッグ。
「このブランドとなら、バックパックに対する一つの答えが出せるかもしれない…」と思い、LEKTとdripで共同で製品開発を行うことになりました。

まずはLEKTが持つ製品について詳しく知る必要があるということで、製品開発を前提に、一つ製品を試させてもらえることになったので実際に今肩に担いで使っています。
LEKTのラインナップの中から僕が選んだのは「101 | 3wayビジネスリュック」。
【商品ページ】101 | 3wayビジネスリュック

僕好みの四角いバックパックで、その名前の通りリュックスタイル、ショルダー、手持ちと3つの使い方ができるアイテム。

モノトーンでミニマル、こういった製品は実はこの世にたくさんあります。そういった製品はデザインでごまかすことができないので、必然的に使用する素材での勝負になってきます。

「LEKT」の製品を触って良いなと感じたのは、表面に使用されている光沢のあるツイル生地。傷や汚れが付きにくい丈夫さを持ちつつも、上品さを併せ持つ素材。
日常的に、どんなシーンでも使えるバックパックとしてはこの上なく合致する素材なのではないでしょうか。

もう一つ好感触だったのは、そのスリムさ。
このタイプの機能性を推したバックパックはどうしても大きく、厚くなってしまいがちなのですが、このバックパックは薄くスリムな形状をしています。
人との距離が近く、すれ違う回数の多い都会ではこれくらいのマチが薄い鞄が求められているのでしょう。

実際に製品を手に取り、なるほどな、と感心したのはこの「L字に開閉する」という機構。

PCやカメラ、書類などなど、バックパックの中に入っているモノを取り出す際、毎回バッグを肩から外して床に置く、という動作って結構面倒だったりするんですよね。
L字型で開閉して横からモノを取り出せるというのは確かに便利だなと思いました。特にカメラとか。

収納としては前面に大きなポケットがあり、iPadのような薄くて大きなデバイスも入れて持ち運ぶことができます。

これに関しては自由度が高くて使いやすいと思う反面、2Wayなので担ぎ方によって天地が変わってしまうとモノが中で散らばってしまうという難点もあるなと感じました。
見た目のシンプルさは残しつつ、もう少し細かい単位でモノを収納できる仕組みを作ることができないか、製品開発をする際に考えてみたいと思います。

あと、僕が毎回リュックを買って気になってしまうのが、「バッグの上部が凹んでしまう問題」。
構造上仕方がないことなのかもしれませんが、四角い形状のリュックサックは大抵肩にかけると形が崩れペコっと谷ができてしまうのです。
せっかく格好良いデザインをしていても、担いだときにそれを表現できなければ意味がない。彼らが一番光を浴びるのは、僕らの背中に下がっている時なのですから。

3Wayということでリュック状態以外の使い方も。
こちらは手提げのモードで、サイドに着いた持ち手のストッパーを外し、肩ベルトを収納し変形させることができます。
手提げはファッションの妨げにもならず、一番シンプルでスマートなイメージになりますよね。やっぱりビジネスシーンで一番格好いいのはこれだと思います。

ショルダータイプにするとこんな感じですね。こちらはストリート寄りというか機動性と内部へのアクセスを重視した使い方。

前述しましたがやはりL字で横からモノを取り出せるというのは便利。本来は街歩きではこれが一番使いやすいかなと思いつつ、中身が重いと肩の負担が大きくなってしまうのでどう使い分けようかなと。

シンプルな構造ながら「手提げのスマートさ」「リュックスタイルの楽さ」「ショルダーの便利さ」の3つを併せ持ったこのバックパック。
理想とするバックパックのイメージ、原型に近い可能性を実際に使ってみて感じました。
このバッグについては以下から公式ストアに飛べるので、気になった方はぜひご覧になってみて下さい。

さらにこの「LEKT」というブランドを見ていて良いなと感じたのは、製品ラインナップの統一感。
上記がプロダクトの一覧なのですが、どのアイテムにも同じ素材が使われ、ミニマルなデザインでまとめられています。こういったアイテムで持ち物を揃えることができれば細かいニーズに応えつつも、持ち物全体に統一感を持たせられるように。

上記は201 | ユーティリティポーチという名前の薄いポーチ。前面に小さなポケットが2つ、メインポケットが1つ付けられているシンプルなバッグ。
こちらと先程の101 | 3wayビジネスリュックの中に入れて使えば、細かい収納がしづらいという弱点も克服することができます。
同じ素材・テイストで様々な規格の製品が用意されていれば、「パーツ」を組み合わせていくような感覚でその人のライフスタイルに合った理想のバッグができるのかもしれません。

そしてその「パーツ」一つひとつも単体で機能をすると、更に尚良いと思いませんか。
この201 | ユーティリティポーチも「ポーチ」ではありますが、小脇に抱えればクールに、最小限のモノだけを持ち運ぶクラッチバッグとして使うことができます。

MacBookやノート、数本のペンを入れて近所のカフェまで移動して作業をしてみたり。

「ちょっとのおでかけ」にリュックサックは大げさ、という時にこういうコンパクトなモジュールがあると便利ですよね。

単体でも機能し、他のシリーズとセットで持つと調和を生む。こういった組み合わせがきちんとできているブランドは強いなと感じます。

薄マチでスリム、ミニマルで格好良いポーチを探していたという方はぜひこちらも参考にしてみて下さい。

昨年末、dripで開発し今では2000人近くの方が愛用してくれているキャッシュレス時代の理想の財布「PRESSo」。
この財布もシンプルな構造ながら、他にない素材と新たなライフスタイルの提案によって広く使われているアイテムです。

「PRESSo」は僕たちのメディアの読者から意見を聞き、共同で作り上げた財布。そして今回また同じ取り組みを「バックパック」で行なおうと考えています。
そこで、みんなで一緒に「理想のバックパック」について考えるためのイベントを行う予定です。
日時は11月23日、モノについてこだわりや想いがある皆さんと、楽しくお話しながら語り合える時を楽しみにしています。
詳細は下記を御覧ください
→ LEKT×drip 製品開発プロジェクト申し込みフォーム

まだ、これから開発する段階なので何のアイデアもないのですが、「鞄はその人を映す鏡」。おそらく、全ての人においてこれが正解、と言える鞄は生まれないのではないかと今は思っています。
そうなると、やはり「LEKT」のコンセプトにもある通り、「ベーシックだけれど時代や人に合わせて変化する鞄」が生まれてくるのではないかと。
僕も今からどんな製品が作り上げられるのか、楽しみで仕方がないです。

どんよりとした梅雨も明け、暖かな日差しと蝉の鳴き声が夏の訪れを告げています。
涼しい部屋の中で優雅に景色を眺めるのも良いですが、自ら外に出て開放的に、全身で楽しむというのも夏という季節の醍醐味です。
羽織る服の枚数も減り、心も体も身軽になる夏。
僕は普段からバックパック派なのですが、夏は持ち歩くモノももっと軽くコンパクトにまとめて出かけたいと思うようになってきました。

そんな折にちょうどよくお声がけをいただいて、ある一つのショルダーバッグを試せる機会がありました。
今回monographにご連絡をいただいたのは福井に拠点を構える鞄メーカー「YUSHI(遊糸)」さん。

50年前に東京・六本木で立ち上がったグラフィックデザインカンパニーがベースのメーカーで、現在はライフスタイルやコミュニケーションの変化に合わせ福井に拠点を移し作り手とユーザーを繋ぐ商品開発に挑戦されています。
その「YUSHI」さんから今回dripとタッグを組みたいということで、製品を一つ僕の生活の中で試させてもらうことになりました。

僕が今回選んだのは「CURRENT – SHOULDERBAG」という小さなショルダーバッグ。
ちょうどこういった取り回し良く身軽に動けるタイプのバッグを探していたところだったので、渡りに船。とても良いタイミングで新しいスタイルを試せることになりました。

まずこのショルダーバッグを選んだ1つ目の理由は、鞄の大部分を占める帆布(キャンバス)素材。綿で織られた平織りの厚手の生地です。
キャンバスは布の中でも非常に強度の高い素材で、鞄以外にも手袋や椅子、テントなどにも使われています。
その帆布の中で「6号」という軽さと強度をバランス良く成立させた厚みのものを中心にこのバッグが作られました。
また、帆布は使う内に風合いが変わり経年変化も楽しめる素材。こういった味を感じられるアイテムはやはり惹かれてしまいますね。

帆布だけでも魅力は十分なのですが、もう一つ注目したのが鞄の下部や縁に使われている革素材。
ブラウンの牛のヌメ革を使いデザインに切り返しを生み、アクセントとして機能させています。
こちらも帆布以上に経年変化が見れる素材なのでそれぞれどのように変化をしていくか想像するのが楽しいですね。

「CURRENT – SHOULDERBAG」を使用する際は前面のフリップを上げ中の収納スペースへアクセスします。

手前には薄いポケットがあるので、財布やスマホ、イヤホンなど小さく細々としたモノを入れるのに適しています。


メインのスペースはマチが広い作りになっているので、コンパクトながらカメラのようなそこそこ大きなモノでもしっかり収納することができます。
こういったショルダーバッグやサコッシュ的な鞄はマチが薄いモノが多いのですが、そうすると持ち運ぶモノが制限されすぎてしまって僕の場合「何を入れよう…」と悩んでしまうことが多いんですよね。

僕はほぼ毎日カメラを持ち歩いているので、コンパクトとはいえレンズやカメラが入るだけの懐の深さがあるバッグを求めていました。
また、iPad Pro 11インチも入る幅があるのでちょっとした旅行くらいはこれで実現できそう。

「ふらっとどこかに出かけたいけれど、リュックを背負うほどではない」という日、ありますよね。
先日そんな日があったので僕もこのバッグに最低限必要なモノを詰めて出かけてみました。
カメラは「Canon EOS RP」に50mmと35mmのレンズを持って。最近写真だけでなく隙間の時間に動画を撮ることも多いのでワイヤレスマイクも持ち運んでいます。
歩く時に音楽は欠かせないのでイヤホンも忘れずに。
後は革の「PRESSo(財布)」に「CHIP(小銭入れ)」、キーケースというラインナップです。

「ふらりとお出かけ」にしては荷物多すぎるんじゃないかとも思いますが、常にシャッターチャンスや良いロケーションを逃したくない僕にとってはこれが最小構成。

コンパクトながらにこれだけのモノが入ってまだ余裕があるので、良いバッグだなと感じました。

全部収納して見た目はこんな感じで意外とすっきり。しっかりと自立するというのも嬉しいポイントですね。

「CURRENT – SHOULDERBAG」を肩から下げ、街へと歩き出してみました。こんな感じで大きすぎずも小さすぎずもなく、男女どちらでも使えるサイズだと思います。

やはり肩掛けというのは歩いている時の取り回しが良くて快適ですね。リュックサックだといちいち背中から降ろして中身を取り出さなくてはいけないので。
この日は雨が降りそうだったので折りたたみ傘を忍ばせてきたのですが、案の定夕立がきて助かりました。

ショルダーバッグだと位置が低いので覗きながら中を見れるというのも使いやすいですね。

そしてやっぱり便利だと思ったのはカメラの取り出し。
写真を撮ろうと思った時に手元からすぐにさっと取り出すことができますし、鞄の中にレンズを置いておけるのでレンズ交換が非常に楽。
普通は手近な椅子やテーブルにレンズを置いて交換をするのですが、ショルダーなら立ちながらスムーズにレンズの交換ができるんですよね。もっと早く気がつけばよかった…

休日にたまに湧いてくる「ふらりと街を歩きたい」という思いにちょうど良いショルダーバッグを今回手に入れることができました。
「ふらり」とはいえ、最低限これはほしい、という僕の要望にフィットしたショルダーバッグ「CURRENT」。

使い勝手も楽で、素材の変化も楽しめる。
新しい季節の足取りを「ふわり」と軽くしてくれるショルダーバッグです。

同じYUSHIのシリーズでショルダータイプのものをDRESS CODE.がレビューしていますのでこちらもぜひ参考に。大人っぽくビジネスシーンでも使えるカバンです。
オンオフ問わずに使えるYUSHI(遊糸)のブリーフ/ショルダーバッグ | DRESS CODE.(ドレスコード)

どこかの会社のコピーライトで「仕事が楽しかったら、人生が楽しい。」という言葉がありました。
働かなければ人は暮らせないわけで、その時間が自分にとって心地が良いものであればそれを取り巻く生活全てが楽しい時間になる。「仕事は仕事」と割り切るのも自分の心を守るための選択肢としては必要なことだと思いますが、ただ諦めてしまうのではなく、自身の充足を考えながら常に「楽しい」を見つけ続けることが理想的な働き方なのではないかと僕は思います。
そんなことを感じたのは、今年の5月。青森県十和田市に取材で訪れ滞在をしたときのことでした。
取材の内容は十和田に纏(まつ)わる”コミュニティ”についてだったのですが、街の様々な人に触れるうちにこの街に住む「楽しく働きながら暮らしている人」たちの姿を見て、このような生活が理想的であり本来あるべき姿なのではないかと思うことがありました。

まず初めにお話を聞いたのは十和田市の市街地中心で活動するWeb制作会社「ビーコーズ」の方々。
東京で経験を積んだ代表の村岡さんが地元にUターンをして起業。気の合う仲間と共に十和田に新しい風を吹き込みながら、地域の交流を活性化させている街のオーガーナイザーのような存在です。
「地元の選択肢を増やす」という自身のやるべきこと、やりたいことを見つけ周りの人を巻き込みながら進む彼らの姿は僕にとっても眩(まぶ)しいものでした。
元々はレストランだったという改装中の一軒家の中で「次はここを新しい拠点にしようと思ってるんです、まだ何をするかは全然決まってないけど(笑)」と語る彼らの目に映る、ワクワクとした希望の色。
「街のため」と彼らは言いますが、結局のところ自分たちが一番楽しんでいるからこそ人がついてくるのでしょう。
地域の鍵は"帰りたい"と思える場所を作ること。青森県十和田市のオーガナイザー「ビーコーズ」と語る。[PR]

もう一組、取材をさせていただいたのは今年の6月に十和田湖の湖畔で「yamaju」という名前のコワーキングスペースを開業した小林徹平さん・恵里さん夫妻。
東京から東北へ渡り、石巻市で復興支援に携わっていたという二人が辿り着いた、自然と静寂に包まれる十和田湖という場所。開業に向けてのお話を伺ったのですが、お二人とも話す際の顔が非常に活き活きとしていて聞いているこちらまで元気づけられてしまいました。
彼らも同じく自分達の役割を見つけ、それを楽しみながら形にしようとしている人達。十和田の街にはこういった自身のやりたいことを仕事として実現し、暮らしている人に多く出会うことができました。
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十和田の街には、他にも「仕事を楽しみながら暮らす」人がたくさん住んでいます。
こちらは十和田市現代美術館のほど近くにある民藝店「くとうてん」。今年一年限定でテスト的に開かれているお店です。

店主の吉田進さんがデザイナーとしての本業を行う傍ら、青森の伝統工芸を文化として残し発信をしたいと始めたお店です。
吉田さんも東京から十和田市へと移住をしてきたとのことですが、まるでずっと昔からこの土地に住んでいるのではないかと感じるくらい青森の風土や文化についての知識が深い方でした。

「くとうてん」には青森県の文化が詰まった工芸品が展示、販売されています。

こちらは青森県津軽地方に江戸時代から伝わる伝統的な刺し子「こぎん刺し」によって作られたイヤリング。


八戸市にある酒造会社が作った、酒粕を使ったバスボム「八仙美人の湯」。こちらは製品パッケージのデザインに吉田さんが関わっているそうです。


面白いなと思ったのは使われなくなったスケボーのデッキを貼り合わせ、素材として作られた木工製品達。

扇子に、

小さな雛人形。

鏡餅なんかもありました。

この形、どこかで見たことあると思ったら、

アイスクリームのコーンでした。笑
マイ箸のようにマイコーンとして使ってほしいと作った製品とのこと。面白い発想ですね。

こちらの歴史を感じる大きなちゃぶ台も、スケボーの板を間に挟み継いでいます。こういう昔のモノと新しい発想が融合する様は見ていてロマンを感じますよね。

更にこちらのお店では「時々郵便局」という取り組みも吉田さんが行っています。

「ここで出した手紙が、いつかその内届く」というサービスで、手紙を出すと吉田さんが気が向いた時に発送してくれるというもの。
いつかわからない未来の誰かに手紙を送れる、ロマンチックな郵便局ですね。


はがきを一枚選び、僕も未来の誰かに手紙を送ってみることに。

いつ届くかがわからないと、書く相手もその内容も少し変わったものになりますね。
住所が変わっている可能性もあるので届くかどうかも正直わからない。だからこそ「これが届いたらいいな」という気持ちを文にして残しておきました。

ポストはどこにあるのかと見渡してみたら「これですよ」と。

この回転する傘上のワイヤーがポストで、吉田さんが気が向いた時に手紙が外され郵送されるそうです。
下げられたカラフルなハガキは、まるで願いを込めた絵馬のよう。


吉田さんもまた、仕事に楽しみを見つけ形として実現している方。
仕事と自身の好きが綺麗にブレンドされた素敵な空間でした。

青森に来たら毎回訪れているフリースペース「14-54(イチヨンゴーヨン)」。その中にあるカフェ「14-54CAFE」は以前monographでもご紹介をさせていただきました。
青森十和田電源・Wi-Fiカフェ 真っ白なキャンバスに"暮らし"を描く「14-54 CAFE」

適度な広さがあり、皆思い思いに時間を過ごすためのスペース。

夜には地元の人が主催となって様々なイベントが執り行われ、街の交流場として機能しています。

このスペースはオーナーのアレックスさんが「地域に開かれた場所」としてつくられました。そのコンセプトに共感した中野渡夫妻がスペースの中に「14-54CAFE」をオープン。地域の賑わいを創出できるようにと、それぞれ意見を出し合いながら運営されています。
僕らもこの日、コーヒーをいただきながら作業をしていたのですが、仕事に煮詰まったのか難しい顔をしてアレックスさんが奥のオフィスから出てきました。
「ちょっと、やりますか。」とカフェの中の中野渡さんに声をかけて、突然始まった卓球の試合。二人共かなり白熱しているようで、球が床に落ちる「カツーン」という音が聞こえる度に歓声と悲鳴が聞こえてきます。
何試合か終えた後、「今日も良い試合でした」とそれぞれの持ち場に戻っていく二人。
これも「仕事」の中の「楽しい」の形だなと。
ちゃんと息抜きをして、しっかりと仕事に打ち込む。
楽しんでいるようで、自己管理にもなっている二人の素晴らしいルーティーンですね。

そんな「楽しみながら働く」十和田の人たちの姿を見て、僕たちも同じ様に働いてみようということで数日間この土地で仕事をしてみました。
この広く整然とした空間は、街の中心部にある市民交流プラザ 「トワーレ」。

白い壁と木材だけで作られたシンプルな空間のプレイルーム。

館内にWi-Fiが通っており、フリースペースが用意されているのでパソコンが一台あればここで仕事をすることができます。

僕もこちらのエントランスホールで1時間ほど細かな作業を片付けていきました。

作業スポットとして意外な穴場だったのがこちらの十和田市現代美術館の休憩スペースの中。


作品:マイケル・リン「無題」
高い天井に一面ガラス張りの窓。
陽の光を浴び、通りを眺めながら椅子に座ってゆっくりと仕事をすることができます。
ちなみにこのスペースの床も作品の一つだったりします。

作品:北澤潤「LOST TERMINAL」※1

作品:北澤潤「インドネシアのジョグジャカルタの街中をスケッチした壁画」※1

作品:藤浩志「ヤセ犬」※1
美術館ということで、そこかしこに可愛げなアート作品が散りばめられています。
ふと一息つこうと視線を外した先にこういう遊びがあると、不意に楽しい気持ちになれていいですね。
※1 企画展「ウソから出た、まこと – 地域を超えていま生まれ出るアート」の関連作品(〜2019/9/1まで)


取材で訪れた十和田湖の近くでも少しだけ仕事をして帰りました。


立ち寄ったのは十和田湖の観光交流センター「ぷらっと」。
Wi-Fiが使えたので1階のフリースペースを借りて少し作業を。
2Fのテラス席からは十和田湖を一望することができたので、そこに座りながら仕事をするというのも良さそうですね。今度来た時は実践してみようと思います。

十和田湖での取材が終わった後、せっかくなので街中まで十和田の自然に触れながら帰ろうということに。


まるで海のように広い湖を眺め、湖畔を歩いて。

少し車を走らせれば、車道のすぐ側を流れる奥入瀬渓流。


せせらぎに呼ばれ、車を停めて飛沫を感じながら写真を撮ってきました。


十和田湖の雄大で静かな湖面も落ち着きますが、奥入瀬渓流の大胆で力強い流れには活力とパワーをもらえますね。

僕の仕事はほとんどの時間がパソコンの画面とにらめっこ。
リフレッシュをしたい時にすぐ近くに、こんなに素晴らしい自然と触れられる環境が羨ましいです。今多くの人はこの青森県十和田市の土地に集まってきている理由がなんとなく体で分かったような気がします。

今回の取材で出会った、「楽しく働く」姿が眩しい青森県十和田市の方々。
彼らは皆全員が自身の目的を見つけ、息抜きを挟みつつ全力で、希望に満ちた目で夢を語ってらっしゃいました。
自分のやりたいことをやって、暮らしていく。シンプルですがこれが本来の人間の、生き物としての在り方なのではないかと思います。
たとえ苦しい時があっても楽しいから続けられる、息抜きを挟んで前に進んでいく。「働き方改革」の正しいベクトルはきっとこういった”気持ち”や”目的”に紐付いたものであるべき。
そしてこの土地では、ふと視線を上げて前を見れば大きな湖や広い空が包んでくれる。
働くひとの”楽しい”を応援してくれる素敵な器がここ、青森県十和田市という土地です。

地域独自の”コミュニティ”が自発的に生まれ、近年急速な盛り上がりを見せている土地、青森県十和田市。
前回の記事、「地域の鍵は"帰りたい"と思える場所を作ること。青森県十和田市のオーガナイザー「ビーコーズ」と語る。」では十和田市の中心街で活動する「ビーコーズ」の皆さんを中心に生まれたコミュニティについて取材をさせていただきました。

今回は同じ”コミュニティ”というテーマの基、2019年6月に十和田湖のほとりで新しくコワーキングスペースをオープンされる方がいると聞き足を運ぶことに。

「yamaju(やまじゅ)」はメンバー登録制のコワーキングスペース。
小林徹平さん・恵里さん夫妻がクラウドファンディングも活用し、多くの人の後押しを受けて創り上げた場所です。
十和田湖の青色と木々の緑に囲まれ、ゆったりした気持ちで休暇を過ごすように働く場所を作りたいという思いでお二人が作られた「yamaju」。基本は会員制のスペースですが週末と祝日だけ、一般の利用客も滞在できるカフェに変身します。
リンク:メンバー登録制コワーキングスペース・中長期滞在者専用ゲストハウス「yamaju」
お話を伺った当時はちょうど開業に向けて改装工事を行っていた途中。
自然あふれるこの十和田湖畔で「yamaju」のお二人が始める、新たな試みについてお話を伺ってきました。

小林徹平・恵里さんプロフィール
宮城県石巻市の震災復興支援に携わる中で出会い、ご結婚。現在は地域ブランディングや環境デザインを手がける「風景屋ELTAS」を立ち上げ”場所や地域に合った本質的な暮らし”を作り、育てている。青森県からの街並み調査の依頼を受け、その一環で十和田湖を訪れた際に湖を取り巻く自然に感銘を受け、コワーキングスペース「yamaju」の立ち上げを決意。クラウドファンディングで資金の一部を調達し、2019年6月に開業。
堀口(drip):まず初めに、この十和田湖の湖畔でコミュニティを始めようと思ったきっかけについてお伺いしても宜しいでしょうか。
徹平:そうですね…”コミュニティ”って何だと思いますか?
平岡(drip):僕らも東京でブロガーのコミュニティを運営しているのですが、その人達を見て考えると「同じ目的の基に生まれる人の集まり」が、なんとなくコミュニティかなと。実際に僕たちはそうした認識で運営をしています。
徹平:そうなんですね。それが”場所”になると、どういうことになると思いますか?昨日は”街中のコミュニティ”を取材されたとお話されていましたよね。単に”コミュニティ”について、と言われた時に何を指しているのかわからないので認識をはっきりさせておいた方がいいかなと思いました。
堀口:なるほど、仰るとおりです。では言葉を変えて「コワーキングスペース」という場所を建てるに当たり、十和田湖という土地を選んだきっかけや理由はございますか?

写真:「yamaju」の裏手には改装前の「山寿食堂」の文字
徹平:元々は青森県から「街並みのデザイン」について依頼をいただいたんですが、街を実際に見てみたら何か大掛かりなことをするよりも、元々ある資産を活用したリノベーション的な取り組みを可能な範囲で少しずつやっていった方がいいんじゃないかという話になったんですよ。
ただ、僕達はずっと宮城県石巻市を中心とした被災地で活動をしていたのですが、人様の建物に手を加えるというのは善意にも、悪意にも取られてしまうことがあって。
だから、「こういう場所があったらいいな」という実験装置のような取り組みを自分達でやってしまったほうが早いかなと思ったというのが「yamaju」の発端です。2017年の11月くらいから調査として十和田湖に来るようになったのですが、調査に来て土地に触れると自然といつの間にか楽しくなっていきました。足を運ぶうちに地域の人との交流が増え、2018年の6月にまずは事務所としての居場所を借りることになりました。
堀口:最初は調査がきっかけで、土地の良さを肌で感じて、実際にご自身で実験的に作ってしまおうという流れなんですね。

徹平:基本何も考えていないので、そんな感じです(笑)。「借りちゃったよ。意外と大きいよって(笑)」って。
堀口:確かに結構建物自体も大きいですよね。最大何名ぐらい収容できるのですか?
徹平:着席で最大ですと、30人ですかね。
堀口:今はまだ実験の段階だと思うのですが、将来的にこういった人が立ち寄ってくれる場所になったらいいなというイメージはあったりしますか?
徹平:基本的には「この周囲の自然を愛して大切にしてくれる人」がここに集まるといいなと思っています。それで、ちょっとした意思の現れとしてメンバー制のオフィスではあるのだけれども、平日休日問わずににシャワーだけは全ての人に開放しています。これは十和田湖の自然をアクティビティとして楽しんでくれているカヌーに乗った人たちや自転車乗り、ランニングやウォーキングする人たちのような方々を「yamaju」では受け入れていきたいと思っているからです。ただ、それを店構えとして表現するのはなかなか難しいところではありますね。ちなみにこのおかげで壁を壊したり、工事範囲が拡大して工事費が結構上がってしまいました(笑)。
堀口:お二人の個人的なもので構わないのですが、この「yamaju」の近くでお気に入りのスポットや気に入っているポイントのようなものがあればぜひ教えていただけないでしょうか?

徹平:ここかな…お気に入りの場所(下の写真)。「柱状節理(ちゅうじょうせつり)」って言って、水に氷をいれると割れますよね。あれと逆の現象で、溶岩が冷えた瞬間に柱状に割れている箇所があるんですよ。その柱の上の部分に座るのが好きで。あとは「自籠岩(じごもりいわ)」って言われる場所もあって、昔、修験者の人たちがそこで修行をしていたみたいなんですよ。僕もその中に籠もって同じようにしてみたいと思っています(笑)。

恵里 :私はスポットというか、これはすごい偶然なんですけど、私達2017年の3月に結婚したんですが、披露宴の席次表によくお互いのプロフィールを載せますよね。最後に将来の夢の欄を作って、私は「湖畔に佇む家に住みたい」って書いてたんですね。当時は全然十和田湖に来ることも予想もしていなかったんですが、なんとなくそういうのが昔からあって。なのでスポットではないんですが、この場所に今いられるということがすごく良くて。

徹平:でもそれは「yamaju」だと湖の横じゃないからダメって言ってるんですよ(笑)
恵里 :そう、もう少しほとり感がほしいよね。なかなか難しいですけど。なんとなく昔から湖という場所に憧れがあって、それが叶いつつある状況なんですよね。十和田湖は二重カルデラって言われていて、外輪山に囲まれているので、峠を越えないと来られないっていう秘境感も心理的に落ち着くっていうのもあるのかもしれません。
私は2014年に東京から石巻市に移住して、仕事としてアートフェスの立ち上げに関わっていました。その時に初めて海沿いの街に住んで。その後ここに住んで分かったのは、海の良さももちろん感じるんですが、私は湖の静かな凪のときに、水面をみていたりする方が落ち着くのかなぁ。
徹平:街の計画設計業務を生業としていたんですが、それらは基本的に業務が終わると地域との関係性も終わってしまうことが多いんですよね。手離れしていく感覚が良い時もあるし、残念なときもある。なので、できる限りその地域の事情を把握した上で、あらゆることをやった方がいいなぁと思っています。今回の場合はコワーキングスペースの候補地は他にもあったんですが、立地的にこの「yamaju」が一番良いと思っていました。

地域の設計上、街の交差点ってとても重要で、「yamaju」の前はちょうど秋田県側、奥入瀬渓流側から観光名所である乙女の像へ入ってきて、ちょうど道のぶつかったところなんですよね。あと郵便局と漁協もすぐ近くにあって、漁師さんや飲食店を営業されている方、地域で唯一の金融機関に来る方と朝夕に自然とお話できるので、それが良かったですね。
堀口:「yamaju」の場合コワーキングスペースなので「働く」というのも”コミュニティ”のテーマの一つだと思うのですが、こういった方が来てくれたらいいなというのはありますか?
恵里:誰でも歓迎ですね。特にこっちで設定するものでもないし、楽しくその場を共有してくれるのであれば誰でも歓迎です。
堀口:”コミュニティ”を構成するのは人間なので、やっぱり楽しくいられるというか、合う合わないというのは大切ですよね。
恵里:そうですね。ただ、なにかその人がやられているお仕事はコワーキングスペースに沿うようなものであっても、それが「yamaju」に沿うかはどうかはわからないですよね。私たちは環境を大切にしているけど、あんまりそういうのは興味ないんだよね、っていう人だと、ちょっと感覚が合わないかもしれない。それはその場を育てていく上では大切な部分だと思っています。共感ができなければ共存はできないと思います。

徹平:最近は「愚痴っぽい人とコミュニケーションを取ること」が自分の中でストレスになっていると気づくようになって。「yamaju」の仲間というか、今ここに集まって夜な夜な飲んでいるような人達の中にそういう人はいないんですよね。人のやろうとしていることを否定はしないし、ネガティブな発言をする人もいない。未来がどういう風にあるべきかプラスのベクトルでいられたらいいなと思うし、ここはそういう感情になれる場所だと思います。
堀口:確かに、滞在する場所や土地によって出てくるアイデアや方向性に大きく影響がありそうですよね…!
恵里:さすがにあまり大人数は収容できませんが、小さなベンチャー企業やフリーランスみたいな方がふらっとやってきて滞在してもらって、仕事していただくっていうのもいいですね。

堀口:さっきから話していて思うんですが、湖をみながら会話できるのは非常に良いなと。都会だとどうしても壁に囲まれていて、視線のやり場がないというか…遠くをぼんやり見ながら会話できるのはすごく新鮮ですね。
平岡:どうしても向かい合うと、対立してしまいがちというか、同じ方向を向いて話ができるのはすごく素敵ですね。横ならびでチェアに座りながら話すの、すごくいいなぁ。
堀口:青森県以外の方が来ることはもちろんですが、地元の方にとって「yamaju」はどんな存在として捉えてほしいですか?
徹平:基本的にはいつでも来て下さいと伝えています。縁側は自由に使ってくれてもいいし。やっぱり観光地だと、どうしても商売っ気がでてしまって、ぼーっとできる場所が少ない気がするんですよね。

平岡:ここまで苦労されたのはどんな部分でしょうか?
恵里:お金の計算はやっぱりちゃんとしないとって感じで大変でしたね。そもそもやったことのない事業計画書を二人であーでもない、こーでもないって作ったりして、そこは頑張りましたね。
徹平:でもそれ以外はほとんど大変なことはなかったですね。というのも約一年くらい、割とゆっくりと準備期間があって、地域の声を聴きつつ何が良いかを探していったので。お盆や当初の計画ではオープンする予定だったGWにも結局間に合わなかったですしね。
恵里:地元の人たちにも「こんな商機を逃して大丈夫なの?」ってだいぶ心配されましたけど、「まぁ確かにそう思いますけど、しょうがないんです」って(笑)

徹平:もしかすると一年後に「あの時開けておけばよかった!」ってなるかもしれないけどね(笑)
恵里:これまでの間も自分たちの友人もけっこう泊まりにきてくれて、そういう人たちがどういう感想を持って、どういう場があればもっと来たくなるのかが、そこで実験できてたのはよかったですね。設計してくれているのも徹平の同級生の建築家と、以前被災地の仕事でご一緒したもう一人の建築家に入ってもらって、二人とも合計3回ずつ来てくれています。
だから同じ目線で意思疎通できているし、ここに来てくれているから何が必要なのかを理解してくれる。そこに徹平が加わって3人4脚みたいな感じで進めてこられたのはとってもよかったですね。

徹平:最初は6月くらいに来た時も、ひたすら散歩と森を歩いたりしていました。呼ばれた二人は「俺たちは何しにきたの?」って言ってましたけどね(笑)
ひたすらルーペでコケをみたりしていました。いわゆるまちづくりでは、よそ者が入ってくると、住民の方にあまり良く思われずに批判やご意見が結構シビアにでることがあるんですが、一年間そんなことは一切なく、勉強会やマルシェを開催したり、事業者にヒアリングを進める上で揉めるようなことはなかったですね。いきなり来てすぐに店を作ってしまうと「自分勝手だよね」って思われてしまうかもしれないので、そういう意味では時間を掛けて馴染めるようにしました。
平岡:一年以上かけて、街とそこに住む人と仲良くなっていったのですね。そして、これからいよいよ立ち上げなんですね。
恵里:やることに関しても、夜な夜な「こういうのがあったらいいよね、やりたいね」とみんなで話し合ったりして考えたものが発端であることが多いのですが、それも全部「いかにここにいる人たちと競合しないか」を意識しました。
同じことをやってしまうとそもそもつまらないというのもあるし、意味もない。もともとやられている商店の方からすれば「あいつら後から入ってきて、同じことやって…」って思うのはよくわかるから、それは絶対やめようと思って。
じゃあここになくて必要そうな「隙間」をやろうと。これまでになかった視点でいうと「授乳室」や「オムツ変えができる場所を作る」とか、そういうのは意識しました。
友人たちも子持ち世代が多いので、そういう人たちが来た時に不自由にさせたくないし、子供を連れて観光地に来るのは絶対にあることなので。そういう人たちに「どうぞ」って使って欲しいです。

photo:via 湖畔の本棚スペースをイメージして作った栞型のショップカード
徹平:今は授乳室の場所が載っているアプリとかあるんですよね。旅行先では常にそれを開いて行き先を決めたりする人も多いみたいで。
平岡:僕の友人も赤ちゃんがいるんですけど、確かに常にベビーカーを置けるかで入るお店を決めているって言っていました。子供がいるかどうかで視点が全然違いますよね。

写真:改装中の「yamaju」の外観
恵里:そうなんですよね。そういうのって経験者からしか学べないことなので。そういう人たちが安心して来られるようにしたいなぁと思っています。
徹平:だから、車椅子の入れるトイレにしたこともそうだよね。結構ギリギリまでスペースを確保したりして。
平岡:役割が他と違うことで、お互いに紹介しあったりもできそうですね。授乳室はあのお店にあるよ、みたいな感じで。
恵里:そうですね。ゲストハウスも普通にやろうとすると一泊から泊まれるという宿泊プランになると思いますが、他の宿泊施設もありますし競合になってしまうから、うちは四泊からにしようと。四泊以上してくれないと泊まれないんですよ。結構チャレンジングで、親からも「大丈夫?そんな人いるの?」って心配されたんですけど、「それはそれでいいんだよ」と。長く滞在して欲しいって言ってるのに一泊だけだとあまり意味ないですし。
堀口:僕らも前回は一週間近くいましたが、住んでみると意外とあっという間ですしね。
恵里:会社員の人はまだなかなか難しいかもしれないですが、実際、そういった働き方ができる人が増えていますからね。

写真:改装中の「yamaju」の屋内
堀口:それでは最後に、一番最初のお話に戻るんですが、お二人の考える”コミュニティ”について今一度教えていただけないでしょうか?
徹平:”コミュニティ”と言うと、実は未完の論文があるんです。僕が考えるに、基本的には「共有知の量」が大事なんですよね。昔は地域社会だったので、閉じられたコミュニティで同じ知が共有されて、それで成り立っていたんです。でも多分、今はSNSや様々な価値観を通して、堀口さん達が言うように「同じ目的の基に生まれる人の集まり」がある。その場所の気候・風土で形成されるコミュニティと同じ目的意識の基に集まるコミュニティと、それ以外と。いろんな重なりと輪があっていいのかなと思っています。
「yamaju」は、十和田湖とその周囲の自然を愛する人たちが集まるコミュニティであればいい。地域の人達はそこに暮らしているし、自然の機微もよくみているから、天気の話は形式的なものではなく、本当に自然に日常の会話に溶け込んでいる。外から来る人は「綺麗な景色だ!」と言ってくれる。属性が違っても共通項として「十和田湖とその周囲の自然を愛する気持ち」があれば、後は何でもいいんじゃないかな。
“コミュニティ”を”それぞれが好きなものの集まり”と仮定するなら、それらがいろんな所で重なって、それを表現する場所が「yamaju」であればいいなと思っています。今は一階の一部の空間も展示ギャラリーにしようと思っていて。今度仲間の一人が北欧に行くんだけど、「北欧to北奥展」をやろうと話してるんですよね。撮ってきた写真や買いつけてきた雑貨を並べたりして、そういう暮らしや文化を紹介してもらったりとか。(※1)
※1 「北欧to北奥展」は2019年7月28日までの土日のみ開催中

恵里:今度は行った先々で投げ銭をもらって活動をしている落語家さんも来る予定です。ほっこり亭じゅげむさんっていう。(※2)
※2 講演は2019年6月28、29日で開催済み
徹平:いろんな輪が重なるのは観光地らしいことだし、十和田湖休屋地区自体も元々は明治初期に栗山新兵衛さんという方が定住を始めた土地で、そこからまだ150年くらいしか経っていないんですよ。霊山としては千年単位ですが、人の住む場所としては意外と歴史は浅いんです。南部藩の人もいれば、津軽、秋田の人もいるので、文化が混ざっている。十和田湖も秋田県と青森県にまたがっているので、いろいろなものが混ざり合う場所になるといいんじゃないかな。
平岡:それも「yamaju」さんが掲げる「あずましい湖を楽しむうつわ」の話と重なりますね。いろんなものが入ってくるというか。
※「あずましい」とは、東北地方の方言で「居心地がいい、落ち着く」という意味
徹平:うまく、つなげてくれましたね(笑)

恵里:私が最近思っていることで石巻市にいた時の話なのですが、石巻市は震災後のボランティアが28万人くらい入ってくるボランティアのメッカみたいな場所になっていて。それで訪れたその土地を気に入ってそのまま定住しているというIターンの人たちが結構いるんです。そのような「移住」「定住」っていう言葉が良いものとされているように感じます。もちろん、過疎化していく地域に若者が移住してきてくれることは素晴らしいことなんだけど、「移住」「定住」という言葉ができたことによって、土地にしばりつけるようなニュアンスを感じてしまうなと思っていて。
本来、暮らし方とか住む場所は一人ひとりが選べるはずだから、誰がどこに住んだっていいんだけど、移住したらそこに「ずっといなければいけない」という感じに、移住した側も受け入れる側も思ってしまっているというか、「骨を埋める覚悟」みたいな強い意志が求められている。本当はもっと自由に考えてもらっていいのに。
もちろん、突然行ってその地域を荒らして、自由に住んで離れていいって言ってるわけではなくて、その地域に対する向き合い方がしっかりしていればもっと自由に生きてもらっていいのかなと。それが「移住定住促進」みたいな言い方をし続けると、苦しさがどこかで生まれてきた時に無理が生まれてしまうのかなと。実際そうやって出ていってしまった人もいます。なので、そうならない、”ゆるやかなコミュニティ”が作れたらいいなと私は思っていて。
それで、”ゆるやかなコミュニティ”というのは、コアになる共有のものがあれば、出入り自由というかなにも縛るものはないっていうのが私のイメージかな。離れたい時って絶対あるんですよね人間は。ずっとはそこにはいられないと思うし、息苦しい。出たければ出ていいし、戻りたければ戻ってきていいし、そういう場に「yamaju」もなればいいと思っています。いろんなコミュニティをそれぞれが行き来するイメージで。

今私たちは仙台市にも家があるんですけど、そっちをなくそうとは思っていなくて。なぜなら向こうのコミュニティも大事だし、こっちのコミュニティもすごく大事だし。東京に実家があって、帰れば両親とか兄弟、友達もたくさんいて、そっちもそっちで大事だし。戻る場所が沢山あることは私にとって居心地がいいんですよね。なんかそういう感じでここもそのひとつになれたらいいのかなと思っています。
堀口:確かに「移住」や「定住」という言葉は今、重く捉えられすぎているかもしれませんね。結婚に似た感じというか…
恵里:そう!契約的な感じですね。
堀口:もっとお付き合いの期間があっても良いのかもしれませんね。そもそも地元の方は土地に愛があるので、僕らもよく「住んじゃいなよ」ってお声掛けいただくんですけど、やっぱりそれが重荷に感じてしまう人もいると思うので。緩やかにいつ来てもいいし、離れてもいいし、というのはあまりない感じですね。

恵里:最近は「お試し移住」とかが少しずつ始まって来ましたね。でも、名前を付けると「お試し移住に来た人」ってそれでまたレッテルを貼られるし。そんな名前なんか本当はいらないんですよね。気に入れば、そこにいればいいんじゃないくらいのスタンスの方が。でもいたいなら、みんなと楽しく仲良くしてね、くらいで。それを「yamaju」で実験できたらいいかな。
平岡:すごく開いていますよね。誰が来てもいいし、いろんな催しを持つところとか。
恵里:そうですね。人間、自分を誰かにあけっぴろげにすることは怖いと思うんですよ。傷つくことも嫌なこともあるだろうし。でもそれをやっていかないと相手もこっちを理解出来ない。徹平が私がここに来る前に一年かけてここの土地の人たちと対話をし続けたことがまさに自分を開くことだと思うんですよね。そういうのは、すごく大事だと思いつつ、縛られるつもりはなく、自分のアンテナを持っていろんなところへ行けるように、くらいに考えています。
堀口:これまでお二人が石巻市で活動してきたことの学びが今の「yamaju」に繋がっているんですね。
恵里:そうですね。被災地は震災で失ったものも大きくて、急激な過疎化と高齢化を体感している最中なんですけど、それは多分今日本中どこでも一緒の悩みで。だからあの地域の人たちから学ぶことがとても多いし、学ぶべきことだと思います。

今回は十和田湖のほとりで新たなコワーキングスペース作りに挑戦する小林徹平さん・恵里さんにお話をお伺いしてきました。
“コミュニティ”の考え方、十和田の土地が持つ魅力、地域の人達の関わり方等、僕自身聞いていて学びになることばかり。
これからも十和田のような街にお邪魔する際は、お二人に教えてもらったことを活かしていこうと思います。



写真:オープン後の「yamaju」の内観
「yamaju」は2019年6月にオープンし、現在宿泊者を受付中。十和田湖の湖畔を見つめて、のんびりした時間の中で仕事をしたい、という方はぜひお二人を訪ねてみてください。
HPリンク:メンバー登録制コワーキングスペース・中長期滞在者専用ゲストハウス「yamaju」
Facebookページ:yamaju – Facebookページ
Instagram:あずましい湖を楽しむうつわ yamajuさん(@yamaju_laketowada)

「働き方改革」の名の下に、多様な働き方や職業が受け入れられつつある令和元年の日本。世間の風潮とテクノロジーの進化に後押しされ、場所や時間を問わずに生業を見つけることができる人達が増えています。
僕自身も比較的どこでも働ける環境が整いつつあるので、ここ数年で北陸や九州など日本各地の地方に赴き、地域独自の魅力や働き方・土地に根ざす”暮らし”に触れる機会に多く恵まれるようになってきました。
名産や観光地、充実したインフラ。土地毎に持つ魅力は様々ですが、その場所に「住む」と考えたら、やはり大切にしたいのは「どんな人がそこに住んでいるのか」。
インターネットの普及によりどこでも一定レベルの生活を送れるようになった現代だからこそ、街々の人、彼らが作るコミュニティの重要性が相対的に高まっているように感じます。


訪れた街の中で、特に”コミュニティ”に対する熱と盛り上がりを感じたのが青森県十和田市。
メディア関係のイベント登壇で訪れたことをきっかけに、昨年は十和田湖畔にキャンプに行ったりとここ1〜2年で何度も足を運ばせていただいている土地です。
十和田湖を始め、奥入瀬渓流、十和田市現代美術館と日本有数の観光名所を持つ場所ではありますがそれ以上に僕が関心を覚えたのが、街に住む人達の”コミュニティ”の作り方。
市の中に点在する特定の場所を中心に、いくつかのコミュニティが存在し新たな交流の形が生まれているのです。
「これは面白いことになっているぞ」と、この街に住む「人」とそれを取り巻く環境についての興味が湧き、今回、monographにて青森県十和田市のコミュニティについて「街」と「自然」という二つの観点で取材を行ってきました。
人材の流出や、移住促進はどこの地域の課題でもありますが、その課題に対する答えの一つが、ここ青森県十和田市に生まれています。

「街」のテーマでは、十和田市の中心街に拠点を構えるWeb制作会社「ビーコーズ」のメンバーにお話を伺うことに。
ビーコーズ代表の村岡将利(ムラオカショウリ)さんは東京でプログラミングの経験を積みその後十和田にUターン。地元で起業後に地域の人々を巻き込み街中で新たなコミュニティ作りに取り組んでいる方。
街の中心部に「second.(セカンド)」という共用スペースを設け、スキルの共有や交流を促進する活動を日々行っています。現在は更にもう一軒空き家を借り、さらにその幅を広げようとしている最中。
今回はそんな村岡さんに対談形式で、コミュニティについての想いや今後の展望についてお話を伺ってみました。

堀口:村岡さんがこちら(十和田市)に戻ってこられたのは2016年からですよね?
村岡:そうですね。丸3年位ですね。
堀口:東京から戻られてからこの3年間で、どのような活動を続けてこられたのですか?
村岡:十和田に帰ってきてWEB制作を本業としてやっていたんですけど、それだけではいけないような気がして、一番最初に自発的に始めたのは「塾」ですね。僕がエンジニアだったので、こっちでは学べないようなことを十和田の人たちに教えてあげられたらいいなと思って。プログラミングもそうですし、これまでの経験談としてフリーランスになったり、起業したりとかの話を。
誰も見ていないかなと思って「村岡塾」っていう名前を付け発信してみました(笑)。そうしたら思いの外、僕の話を聴きたいっていう人が何人か出てきて。まずいちばん最初はそんな感じですね。
堀口:その活動は事業とは関連なく始められたのですか?
村岡:そうですね。ボランティアです。

堀口:なにか昔から、そういった活動をしたいという想いがあったのでしょうか?
村岡:東京に行ってから気がついたんですが、十和田市にITの会社、WEB制作の会社って見渡してもひとつもなくて。そういった業種の働き方を子どもたちは全く知らないので、せっかく帰ってきたんだから発信して、知ってもらえる機会をつくりたいなと思って。新しい職種として。
それを「塾」って名前をつけたらキャッチーと言うかフレンドリーかなと。形式は別に塾ではないんですけどね。
ウチのデザイナーの米田くんもその塾が興味あるっていうところから、話して、その年に一緒にやったほうが良んじゃない?ってなって、翌年に入社。だからその活動をしていなければ、米田くんとの出会いはなかったですね。
堀口:塾が全ての始まりなんですね。
村岡:その次は…従業員を抱える感じになってやばいなというか、怖いなと。とりあえず仕事取らなきゃって。危機感が急にやってきました。デザインの仕事はそれまで全く請け負っていなかったんですが、新しい収入源として取りに行こうと決めて、がむしゃらに安い仕事でもやっていましたね。
堀口:東京の既存の案件も受けつつ十和田のお仕事も新たに、という形かと思うのですが、どのように新しい仕事を開拓されたのですか?
村岡:当時も今も会社の9割は東京の仕事で、エンジニアの仕事を受けているんですが主にシステム開発のような見えない裏方の仕事でした。その中で目に触れるフロント側のデザインもお願いしたいという案件がいくつかあったので、まずはそれをデザイナーの米田くんに頼むようになって、という感じですね。地元の案件は、そこで初めて1件とれて。
堀口:ちなみに地元の最初の案件はどんなものでしたか?
村岡:最初は友人の会社のホームページ制作でしたね。資源回収会社の。そこから徐々に事業の幅が広がって、また人が足りなくなって。もう一人エンジニアさんが欲しいなと考えていた時にたまたま、東京で知り合った人の会社の子会社が青森県三戸町にあって、そこが潰れるって相談を受けて、その中のひとりに高橋がいて。意気投合して一緒にやろうかとなりました。三人になったのが2017年の10月くらいですね。

堀口:「second.」を作ったのはメンバーが3人になられてからですか?
村岡:はい、その直後ですね。11月に契約したので。改装したいと市の創業支援窓口に相談したら空き店舗を改修して事業を始める人への補助金を使えるという話になり、活用して改装をしました。
堀口:「second.」は最初は目的を決めずに作り、取り敢えず街のみんなが気軽に集まれる場所にしたかったと伺っているんですが、今はそこから変化がありましたか?
村岡:初めは確かにそうだったのですが、人が集まるとその目的も生まれるもので。今は定期的なイベントを開催する為の場所になってきています。地域と僕たちの接点になるような場所って感じですかね。月1で集まって好きなこと喋って、っていうのを必ず毎月やっているので。逆にそういう会がないと人って集まりにくかったりするので。継続的に続けることを大切に、僕らが楽しいっていうのを前提に、地域の方と交流できる場所として。
最初の村岡塾も僕らがやっていることを外に発信していきたいと考えて生まれたものなので、その結果が今のイベントに繋がっているのかなと思います。地域の方も「これからこういうことをやろうと思っているのですが、どう思いますか?」と相談に来てくれたり。

定期的に短い時間でプレゼンをする「LT(ライトニングトーク)」というものを「second.」では行っているのですが、最近では話し手にファンが付いてきたりして、思っている以上に広がりを見せてくれています。
特にテーマは決めていないので、自分の好きなスポーツブランドの話や地域でのアート活動の話、イベントの話と皆さん思い思いの自由な話を発表してくれています。中には自分の半生を語るような人もいるんですが、それがまた面白くてついつい引き込まれちゃったり。
最初はただ集まる飲み会だけでもいいかなと思っていたんですが、それだとあまり僕らがやる必要ないなと。ダラダラ集まるだけでなく地域について考えたり、新しいことを生み出す場所にしたいと僕らは思っていて、それを発信していたんですが、徐々に僕も混ざりたいという人がでてきて、ぜひどうぞと。
堀口:場所も大切ですが、地域のことを考えるというテーマを決めて、毎月話すきっかけを継続するというのはすごく利にかなっているなと思います。でも人前で自分の考えを話すのは、慣れていない人には結構難しいですよね…。
村岡:はい、中々大変です…(笑)でも僕も毎月LTで話しているんですが、それがあることで日々の生活に「これは話のネタになる…」とか「なにかやってみよう」という気付きが生まれる気もしますね。

photo:via second.で行われたLT会の様子
堀口:確かにその気持ちを参加者全員が持っていると、随分と地域が変わってきますよね。
村岡:何回も参加してくれているリピーターも多いですしね。
堀口:東京でもそんなにありませんからね。人前に出て自分の思いを伝える場って。
村岡:それが欲しかったんですよね。地方は表で派手にやっている人に裏で陰口を言うことが多いイメージがあって。東京に比べるとイベントも少ないですし、何もしないと喋る機会すらないまま社会人になってしまう、みたいな。社会人になると人前で自分の考えを話す機会はより一層減りますし。喋りたかったら場所があるよ、あとはあなた次第ですよ。という選択ができる環境を作りたかったんです。
堀口:イベントでは一人どのくらい話すのですか?
村岡:一応一人15分ですね。超えても止めはしないですが。なんせ、僕がオーバーの常習犯なので(笑)。段々と人数が増えてきて、今は嬉しい悲鳴というか、毎回「second.」に入りきれないくらいほどの人が来てくれることもあります。人が来てくれているからこそ、考えられることも増えるんです。

photo:via second.で行われたLT会の様子

堀口:今は十和田市内の20〜30人という規模感だと思いますが、将来的にコミュニティがここまで広がったらいいなというお考えはありますか?
村岡:なんだろう…運動会とかまちぐるみでやってみたいですね(笑)。そうなると、色分けして、だいたい100人いたらできるんですかね?あとはやってみたいことでいうと、今は全部イベントを「second.」でやっているんですが、十和田市内には他にも個々でイベントをやっている人達がいるので、その人達と連携して日付とか時間をあわせてゲリラ的に”フェス”っぽい感じで何かできたら面白いなと思います。段々とそういった知り合いも増えてきていますし。

堀口:3年続けてこられていろいろ得たもの、感じたことがあるかと思うんですが、これから地方で新しいことを始めようとする方にアドバイスをいただけませんか?
村岡:僕の場合は知り合いでこれまでに移住して起業した人の前例がなくて、その原因はやっぱり始めたてに仕事が立ち行かなくなってしまうことが多いんだろうなっていうのがあると思っていて。せっかくやりたいことがあっても、お金が問題でできないのは嫌だなと思っていたんですね。だから東京の制作会社を辞めて独立したときも、まずは一人で生活できる分をきちんと稼げるのか2年間試して、それから「これならいけるぞ!」という実感を持ってからやっと青森県に帰ってきました。夢だけ、希望だけで動かないように僕はしていました。あとはただのWEB制作会社だけだと面白くないので、そこで地域・地元をテーマに面白いことをしているというプラスアルファな付加価値としてつけられるかな、とちょっと戦略的にはやっていましたね。
堀口:想いとか夢が先走ってしまうことはままあることですよね、まずは安定した基盤がないと。東京のお仕事を持って帰ってきて地元で起業をなさっているのは理想的なUターンの形ですね。
村岡:その点はITで良かったと思いますね。WEB制作は嫌いではないので続けていきつつ…キャンプできる場所であったり、僕たち自身が楽しめるような場所をこれからも沢山作っていきたいとは思っています。あとはそれと紐づけて僕らの次の世代に向けて、体験を増やせる場所を作っていきたいですし、彼らが活躍できる環境づくりをしていきたいと思っています。
今はWEB制作とかシステム開発をする会社が県内にないので、それが当たり前になるようなインフラづくりにも取り組んでいきたいです。今はWEB制作をやりたいってなったら東京に出たほうが早いってなってしまう。それがここでも叶えられるように。様々な職種を作って街の人の選択肢を増やしたいっていうのが一番大きいかもしれません。

堀口:別の記事で、今後はコミュニティから派生をさせて「村づくりをしたい」と読んだのですが。
村岡:それはちょっとオーバーですけどね(笑)。でも近いことを考えています。小さい街だからって、東京のように飲食店やゲームができるところがあってもいいですし、ゲストハウスみたいな宿泊施設があってもいい。多角的に何でもやる、作るという意味で、イメージは村づくりって感じかなぁと。比喩ですね。村なので、簡単なルールは自分たちで作って、楽しむ。
あと自分たちの「村」があるって格好良くないですか(笑)?「second.」も自分たちの遊べる空間がほしいよねと、楽しむために作ったら、街の人から「ここ使えない?」というオファーが来たりして。「なら、みんなで遊べばいいんじゃない」と。
堀口:じゃあ基本は「楽しめる場所」がベースとして存在して、それが将来的にコミュニティや「村」になっていくかもしれない、という形なんですね。

村岡:そうです。それを続けていったら、十和田を離れたくなくなるかなと。僕と同じく東京へ出ていった他の人に聞くと「やっぱり帰って来たい」と言う人もいれば「帰ってきてもつまんないでしょ」って言う人もいて。じゃあ僕らが会社として、なにか動けることはないかなぁと。WEB制作という仕事を十和田に持ち込むこともそうですが、それ以外だとやっぱり僕らが一番楽しいという状態をつくることが全てかなと。それが広がって繋がっていった先が「村づくり」。そこで人が集まれば、新たに雇用を生み出せないかなと思っています。
ここに全部を揃えて「あとはもう住むだけだよ?」という環境を作りたいんです。仕事もあるし、娯楽もあるし、場所もある。じゃあ戻ってくればいいじゃんと。東京に出た人が十和田へ帰ってこない言い訳をなくしたいんです。
堀口:自分たちがお手本となって楽しい姿をみせるのは良いですね…。
村岡:やっぱり人が楽しそうにしているところって気になりますからね。つらい部分はあまりみせないようにして(笑)。「帰ってきなよ」っていうよりも「帰りたいな」と思える場所を作ることが、一番の近道だと思っています。


今回は青森県十和田市の中心地でコミュニティを運営する「ビーコーズ」代表、村岡さんにお話をお伺いしてきました。
彼らの開催するLTにも実際に参加させていただいたのですが、個性豊かに熱量高く自分の活動を語る参加者の方々の姿を見て十和田という街はこれから更に大きな発展を遂げていくのだろうと、自分も街の住人の一員になったかのように気持ちが鼓舞されました。
様々なプロジェクトが、住人たちの手によって生まれ、その取組が始まっていたので数年後に街がどんな変化を遂げているかがまた楽しみですね。


今回は青森県十和田市の市街地に根付くコミュニティについて取材をさせていただきましたが、次回は十和田湖周辺で自然に囲まれた新たなコミュニティスペースづくりに挑戦をする「yamaju」のお二人にお話をお伺いしたいと思いますので、お楽しみに。

少し前に「人生はマラソンだ」というCMをよくテレビで見かけることがありました。
マラソン、言い得て妙だなと思いつつ、マラソンが出来ていればそれはもうずいぶん上出来なことなのではないかと僕は思います。ペースの差こそあれど、ゴールに向かってまっすぐ進めているということだから。
人生は一本道ではないので、ゴールの方向が見えずただその場で焦るように足踏みをしてしまう、もしくはマラソンに出ていたつもりがいつの間にかトラックをぐるぐると回っていた、という経験は誰しもにあることでしょう。
僕も最近同じことをこのブログ「monograph」に感じていました。好調にペース良く、心地良く走れてはいたはずなのですが、走っても”その先”が中々見えてこない。何だか途中からぐるぐると同じ場所を回っている気がする。
それで書いたのがこちらの記事。
一度ブログという形式から離れてみて、枝葉を伸ばしてみる。陽の当たるところに身を置いてみる、ということを考えてここ数ヶ月はYouTubeの方に注力をしてみました。
おかげさまでその「枝葉」も大きく伸びて、次の「幹」にもなりそうな可能性を感じられるようになってきました。
そうするとまた不思議なもので、ブログを書きたくなってくるんですよね。
一度離れたからか、もうすでに恋しくなってきてしまいました。もっとブログ書きたい。
ただ、今は「枝葉」を伸ばした方が良いんだろうなという何となくの予感がしているので、ここは我慢の時。
今までと同じに戻ってしまってはいけないので、もっともっと「幹」が太くなって、沢山の人に文章を届けられる状態になってからまた、ブログをたくさん書きたいと思います。
先月はより動画にシフトをしていきまして、記事を8本、動画を20本という内訳でした。7月はもっと意識的に動画に寄せてみようと思います。ブログ書いちゃうかもだけど。
アメトークのスニーカー芸人で紹介されていた防水スプレー「CREP」を試して動画にしてみました。白のレザースニーカーに醤油を垂らしても無傷というとんでもないコーティング力のスプレー。
これから梅雨にキャンプの時期、ぜひお試しあれ。

中目黒に新しくWi-Fiラウンジがオープンしたので記事にしたのですが、これが大いにバズりまして沢山の人がお店に来店してくれたそうです。毎回こんなホームランを打てるわけではありませんが、やはり誰かに貢献できるとコンテンツを作っていてよかったなと思います。
waves nakameguro – 中目黒駅近の隠れ家Wi-Fiラウンジ

定期的に配信している、僕が気になる「モノ」を紹介する企画「MONO LETTER」ですが、更新回数が制限されたからか久々に書いていて楽しいなと思う記事が書けました。ワクワクしながら書くって、大事ですね。
MONO LETTER vol.17 – "いつまで経っても男の子" –
お気に入りの有田焼の指輪が割れてしまったので、都立大学駅にある「Makers’Base」というワークショップ施設で修理をしてきました。
「金継ぎ」という日本の伝統的な技法で継いで来たのですが、自分の手で直すことができるというのが新鮮で楽しかったです。
この「Makers’Base」が気に入ってしまい、先日別のワークショップにも参加してきたのでその様子はまた後日。
これ、試して久々に声が出ました。
昔ながらの古いレンズを最新型のカメラに付けて、オートフォーカスに対応させてしまうという何とも変態的なマウントアダプター。瞳AFまで使えてしまうというから驚きですよね。ぜひ動画を見て動きを感じてもらいたい。
僕のメインカメラはSONYのα7 R3なのですが、最近動画に注力を始めたこともあってCanonのEOS RPというカメラを試しています。
まだ数週間ですが、これかなり良さそう。
スキンケア好きの友人とも話していたのですが、この無印の導入化粧液、ヤバイです、マストバイ。つけるだけで肌の調子が大きく変わるので声を大にしておすすめしたい。
今こうして書いている文章と同じ様な形で、僕の「考え方」のような抽象的なことを動画でも伝えることができないかと思い撮った動画。
思った以上に反応が良く、これなら動画でも今までの知見がそのまま活かせるんじゃないかと希望が見えました。
ブログとYouTubeの大きな違いでいうと「コラボ文化」というものがあるんですよね。ブログは協力がなかなか難しいんですがYouTubeだと相互にメリットがあるのでコラボしやすい、ということで僕も今月2本コラボをしてみました。
やってみたらとても楽しかったので、もっと回数増やしてみたいと思います。
そして約半年くらい頑張った結果として、YouTubeのチャンネル登録者数が10,000人を超えました。いや、本当にありがとうございます…。
記念に質問コーナーをやっているので聞きたいことがあればこの機会にぜひ。
YouTubeをよく見るようになって、そこから新しい音楽に出会うことがあるのですが、本当才能に溢れてますね世界って。面白い人が多すぎる。
この二人、売れると思います。「どんぐりず」。
昔、この動画を見たことがあって「ふざけてるなぁ、いいなぁ」と思った二人なんですがそこから4年くらいになって、音楽のレベルがめちゃ上がってる。でも内容は変わらず中学生のノリのまんまというギャップが堪らないですね。
月刊モノグラフ2019年1月号「良いお年を」で紹介した「Mom」と同じソウルを感じます。
これもYouTubeを見ていて、つい意識を奪われてしまった曲。
元々ノイタミナのテーマ曲になっていたので知っていた曲なんですが、弾き語りってまた別の良さがありますよね。楽器の数は一本しか無いのに力強いと言うか。
同じくノイタミナ枠でこっちの曲も好き。
一日一冊マンガを読んでいますが、今先月からの流れで「ジョジョリオン」にハマってます。長く続いてる作品は後半につれてどんどん厚みが増してくるからやめどきがわからない。
半年くらい前に紹介した全員フォワードのサッカー漫画「ブルーロック」が今4巻でさらに面白くなってきました。
「一番のフォワードを決める」というこの漫画、自分が得点しなければ上に上がれないのに、エゴを通すとチームメイトからパスをもらえないという矛盾を抱えていて、それを各々がどう克服していくのかというのが見どころです。
なんだかんだで一番楽しみにしているマンガ「ブルージャイアント」の新刊が出たので宣伝しておきます。もう多くは語りませんが、これを今読まないのは本当にもったいないと思います。
同じ「青」繋がりでもう一作品ご紹介。
ジャンプ+で連載中の「青のフラッグ」という青春マンガなのですが、これもまた凄い。恋愛の三角関係の中にLGBT要素が入ってきて、性別ってなんだ、好きってなんだ、っていうことを改めて考えさせられます。
恋愛漫画だからフワフワした内容かと思いきや、キレキレの正論が飛び交いぶつかり合う様が今のSNSの小競り合いを表しているみたいで面白いんですよね。保健体育の教科書に載せてもいいマンガだと思います。
ブログから少し離れてみると、一周まわってやっぱり文章が書きたくなるという話でした。同じぐるぐるでも、これはきっと良い周回なんじゃないかと思います。
ずっと同じ姿勢で同じところを走るのは苦しいです。靴を履き替えても、自転車に乗ってもいいから、自分が気持ち良く前に進むことが大事。
その時が来たらまた気持ち良く文章がかけるように、行けるところまで動画で進んでみます。
バックナンバー:月刊モノグラフ | monograph

独立をしてから、東京以外の場所へ旅行へ行くことが増えました。
プライベートの旅だったり仕事の取材だったりと都度目的は様々。ただ同じことを繰り返せば人は学習すると言うか慣れるもので、今では何の気負いもせず、ただ楽しみな気持ちだけを持って出かけられるようになりました。

先日も福岡にカメラ仲間と1泊2日の旅行に行ってきたのですが、その際に旅行用の鞄の中身を撮影したので少し記事でもご紹介していきます。

こちらが今回の旅行に持って行った僕の鞄の中身。写っていないもので言うと着替えのTシャツとカメラとPCくらいで、それ以外はこれで全部。
普段の生活と同じで旅行の際も身軽に歩きたいので荷物は最小限に抑えるようにしています。

ガジェット周りのアイテムからご紹介すると、まずは「Osmo Pocket」。
ジンバル搭載の小型ビデオカメラで、Vlogを撮る際に使っています。
小さいのに高画質、そして一切の手ブレなしということで便利なことこの上なし。旅の様子を少しずつ撮っておけば繋げるだけで思い出になるのでオススメです。
ジンバル搭載カメラ「Osmo Pocket」手のひらの中に滑らかな日常を。

旅行の際もメイン財布は変わらず「PRESSo」を使っています。
普段遣いよりも旅行の時のほうが、より財布の軽さ・小ささ・取り出しやすさが重要になってくるので「PRESSo」の良さが際立ちますね。
色んなシーンに溶け込む、マルチな財布です。
キャッシュレス時代、メンズコンパクト財布の究極系「PRESSo」

こちらも普段から持ち歩いているバッテリーとACアダプターが一体になったハイブリット充電器。
一台でUSB-CとAが使え、MacbookとiPhoneが充電できてしまうのでとりあえずこれを持っておけばOKというアイテム。
充電の機会が限られている旅行先では有り難い相棒です。
これぞ完全体。MacBook、ワイヤレス充電に対応したコンセント直結モバイルバッテリー

先程のモバイルバッテリーは便利とはいえ、ホテルでの充電や友達とのコンセント争いを考えると少し心もとない部分も。
なので旅行に行く際はこちらのCIOのオールインワンなACアダプタも併せて持っていくようにしています。
コンセントの数を増やせ、単体でUSB-CやA対応の機器も充電できるので一台あれば大活躍間違いなし。
USB-CとA、さらにコンセントを3つ増やせる旅行に最適な軽量電源タップ

僕は飛行機や新幹線の移動中に作業をするということが苦手で、乗り物の時間は大体睡眠に当てています。なので快適に寝れるように「TO&FRO」のネックピローも鞄の中に。
ふわふわのパイル地で触り心地が良く、セットで同じ素材のアイマスクも付いているのも嬉しいです。移動で寝るのが少し楽しみにすらなる枕。
NECK PILLOW & EYE MASK SET | TO&FRO

僕の鞄の中身の中でも特に旅行に特化し、一番活躍してくれているのがこの「無印良品のトラベルポーチ」。
バンドでくるりと巻いて留めておくタイプのポーチで、中に細かなモノを仕分けしつつ運ぶことができます。

ポーチの内部はこの様に3つのポケットに分かれています。
ポケットの大きさは、真ん中>右>左という順番なので、それぞれのサイズに適したモノを収納。

中身を取り出すとこんな感じですね。
真ん中:下着とトランプ
右:アトマイザーに入れた化粧水、日焼け止め、ワックス、歯磨き粉、練り香水
朝晩のちょっとした日用品がこの中に詰まっている形です。
「無印良品のトラベルポーチ」にはフックも付いていて縦に掛けれるというのもスペースが限られるホテルではありがたい限り。
ポリエステル吊るせるケース着脱ポーチ付(新)グレー・約12×18×4.5cm 通販 | 無印良品

というわけで簡単に僕の1泊2日の旅行の中身を紹介してみたのですが、1泊以上に泊数が増えたとしてもここで紹介した中身は変わらずに着替えだけが増えていく形ですね。
なので今回のアイテムたちが旅行の中身の基本形。
「これだけあれば大丈夫」というモノをいかにコンパクトに、数を少なく減らせるかが重要なポイントだと思います。

着替えが増えたら僕はこの世界一軽いオーガナイザーの中に着替えを畳んで入れて運ぶようにしています。小分けにできるだけで鞄やトランクの中身がスッキリ片付くのでぜひお試しあれ。
世界でいちばん軽い「TO and FRO」のオーガーナイザー。鳥のように旅をする。

何の前触れも音もなく、静かに割れた。
昨年から毎日のように付けていた「2016/」の有田焼の指輪が割れてしまいました。
いつも通り、仕事の話をしている時に指からぽろり、と何かが落ちる感覚があり右手の薬指を見るといつもの黒線がない。

床を見ると綺麗に小さな3つの欠片になった指輪が転がっていました。力を入れた覚えもなかったので身内の不幸的な予兆すら感じるシチュエーションだったのですが別段凶報もなく、幸いそういったスピリチュアル的なメッセージではなかったようで安心しました。
欠片を拾い集め、「CHIP」の中に避難をさせ、気に入っていた指輪だったのでまた新しいものを買おうかと思ってMacに向かったのですが、ふと思いとどまって画面を閉じました。

僕の指輪は有田焼。
昨年、有田に行った時の思い出がふと蘇り、割れた陶磁器の破片を利用して作られた石畳があったなと。
「変化」を受け継ぐということ。 "mediacruise 佐賀 有田編"
もしかしたらただ欠片を捨てるだけではなく、何かもう一度使える様になる方法があるのかもしれないと、陶器の修理方法を調べてみることにしました。
そこで見つけたのが「金継ぎ(きんつぎ)」という手法。
欠片を繋ぎ合わせ、漆と金の混ぜもので間を継ぐというもので「割れ」を利用して芸術に変えるという伝統技法です。
これを使えばもしかしたら僕の指輪ももう一度息を吹き返すのでは、と思いさらに調べてみると僕の家の近くの駅、都立大学でこの「金継ぎ」を体験できる場所を見つけました。


名前はずっと前から聞いていて気になっていた「Makers’ Base」という場所がありました。
Makers' Base – Personal Brand Supporter –



自分の手で藍染やピアス作り、金属加工や陶芸を作りながら学べる場所で、手軽にDIYにチャレンジできる場所として人気のストア。
このワークショップの一環で「金継ぎ」ができるということを知り先日の週末に朝から足を運んできました。
世間的にDIYの人気が高まっているせいか、この日も「Makers’ Base」は大盛況。ほとんどのワークショップが満員という状況で受付待ちの人たちが沢山並んでいました。
金継ぎ体験は上のフロアということでエレベーターで移動。
金継ぎ体験はおおよそ2時間。始めは講師の方の説明から入り手を動かしながら話を聞いていきます。
説明と言っても本当にライトなもので、基本は作業がメインになるので退屈せずに進めることができたのが良かったです。

まずは割れた欠片を繋いでいく作業から。

透明と水色の接着剤が配られ、これを混ぜていくと化学反応を起こし固まり始めます。

欠片の断面にたっぷりと多めに塗り、圧着。

一度くっつけたら5分程度は動かないように手で押さえておきます。

一片ずつ繋いでいくので、5分押さえて乾かしたらまた次のパーツを繋ぐという流れです。
それぞれの箇所が乾いたら表面にはみ出た接着剤をカッターナイフで削って取り除きます。
全ての欠片を繋ぎ元の形を取り戻すことができました。

接着剤が乾いて固まったら割れ目の部分を塞ぐように、金を継いでいきます。
「Makers’ Base」さんの金継ぎ体験はあくまで簡易的なものなので、ここで使用するのは真鍮と漆を模した接着剤を混ぜたもの。
真鍮の粉がマーブル状にきらきらと輝いて綺麗ですね。


ヒビが入った部分に一筆書きで真鍮を塗っていきます。薄く塗るかぽってりとさせるかは好み。
土台ができたら後は仕上げに金粉を表面に吹いてもらって完成です。
吹いてすぐは表面が柔らかいので2日間は十分に乾かして固めてから使うようにとのこと。


そして最終的に完成した金継ぎの指輪がこちら。
どうでしょう、素人目にはなかなか格好良く出来たのではないかと自画自賛しています。
元々シンプルな黒いマットな指輪に、一筋の金色が走ることによって適度なアクセントが入りました。
より「和」の風味が増し、陶器の良さが出たのではないかと。


「Makers’ Base」の金継ぎワークショップはここまでで一回4,860円。
僕の場合は小さな指輪でしたが、他のお客さんは器を何枚も持ってきていて順番に継いでいたので、割れたり欠けた器の枚数が多ければ多いほど受講する価値が上がりますね。

指輪が割れてしまった時は悲しかったですが、こうして傷を埋める過程でより自分だけの、自分らしい指輪に生まれ変わらせることができ今ではむしろ喜ばしくすら思います。

初めに買った時よりも愛着が増し、より指に通したい一つに。
今回の体験で「Makers’ Base」ハマってしまいそうなので、また今度別のワークショップにも足を運んでみようかなと思います。
Makers' Base – Personal Brand Supporter –

関連では今回の有田焼の指輪について改めてご紹介。
有田の職人と海外のデザイナーがコラボをして作られた、手作りの暖かさと現代的なクールさを併せ持った指輪です。
有田焼を指に巻く。「2016/」の指輪が自然なアクセントに。

社会人としての年次も上がり後輩も増え、大人の階段を着々と登りつつあるなと感じる今日この頃ですが、友人と話している内容や興味のあることは今だ少年のまま、変わらず同じ方向を向いている気がします。
メカメカしい新製品が出れば目が輝いてしまうし、今でも友達と集まればオススメの音楽やゲームのプレイについて嬉々として話してしまう。
でもそれでいいし、それがいいな、と思います。
いつまで経っても少年のようなワクワクした気持ちはずっと胸に残しておきたい。自分の子供や孫とも対等で話せる人でありたい。
この感情を墓まで持っていけたら幸せだなと思います。
定期的に僕の「今気になる”モノ”」を紹介する企画「MONO LETTER」。
いつもは雑貨やファッション系を紹介することが多いのですが、今回は初心に戻ってワクワク出来るガジェット系のアイテムを中心に集めてみました。
「MONO LETTER」は公式LINE@の読者限定企画です。お読みになりたい方は友だち登録後、トーク画面の下部に表示される画像に書かれているパスワードを入力して下さい。友だち登録待ってるよ!
ガジェット系に振ってみた今回のMONO LETTER、いかがだったでしょうか。
やっぱりこういった電化製品は夢が詰まっているというか書いているだけでワクワクしてきますね。そしていつの間にか本当に欲しくなってしまうから困りものです。
この辺りの行動はコロコロコミックやファミ通を読み漁っていた小学生の頃からほとんど変わっていませんね。
いつまで経っても、男の子。
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