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Latest News:

どきどき☆スイーツ・パニック(その3-4) 16 Jul 2011 | 11:14 pm

というわけで、実夏は、ちっとも片づかない書類整理の合間合間に、レムから渡されたメモを片手に、学園内部、そして近隣のコンビニを徘徊する羽目になった。 「だいたい、この辺りのコンビニの品揃えはおかしい。いつ行ってもデザートの棚が空だもの」 今夜もまたスイーツ狩りに駆り出された実夏が、レムに託されたクーラーボックスを肩から掛け直しながら口をとがらせると、千世が冷静に分析した。 「夏休みで生徒が減っ...

どきどき☆スイーツ・パニック(その3-3) 5 Jul 2011 | 12:14 am

学園の夜空は、とかく厄介事の絶えないこの場所において、実夏が手放しで賞賛できる、数少ない事物のひとつだった。 場所が山の上で、周囲に明かりが少ないおかげで、転校前に住んでいた町とは比べものにならないくらい、たくさんの星が見える。夜空が星で明るいという現象を、実夏はここへ来て初めて体験した。 「見て、千世。今夜は満月だよ」 実夏が星空を仰ぎながら呼びかけると、いつも通り斜め後ろに付き従っていた...

どきどき☆スイーツ・パニック(その3-2) 31 May 2011 | 09:32 pm

「ねえ、レム。面白いよ。蘭のことが出てくる」 この日、レムは、持ち込んだ大量の化粧品と化粧道具を駆使して、蘭の顔色をなんとか健康的に見せようと頑張っていた最中だったので、そうデスか、と生返事をしただけだった。 「これ、中等部一年のときの記録だ。すごいじゃない。学園の水問題に貢献した天才児って書いてある。べた褒めだよ」 「先生がいらっシゃった頃の記録デスからね」 「先生?」 「この学園には...

どきどき☆スイーツ・パニック(その3-1) 28 May 2011 | 08:22 pm

――というわけなんだけど、と事情を説明してはみたものの、話す前からうっすらと予感していたとおり、書類の山は、実夏が部室に泊まり込んで、ひとりで整理することになった。 蘭は当然のように無反応を貫いていたし、ちょうどそのとき、膝に乗せた蘭のくせっ毛頭を三つ編みに編み込んで、自分とお揃いにしようと張り切っていたレムは、にこにこしながら編みかけの髪を持ち上げて、「ごめんなさい。忙しいんデス」の一言だけ。...

どきどき☆スイーツ・パニック(その2-3) 24 May 2011 | 06:38 pm

「――で、巨大な影に関しては、どう? これも本当なのかな?」 「目撃した警備員がいまだ生徒会の手の内にあるので、直接の確認は取れていませんが」千世が考え深そうに続けた。 「配下の者が確認したところによると、図書館周辺の警備が普段より厳しくなっているのと、建物の壁に大きな穴が開いているのは事実です。穴の規模と位置、がれきの散乱状況は、人間以上の背丈のものが強い力で内側から打ち壊したという、先ほど...

どきどき☆スイーツ・パニック(その2-2) 18 May 2011 | 02:09 am

その日の夕方、執務室からの帰り道に、実夏が、節々が痛む体を引きずり、両手で抱えた段ボール箱の取り扱いに苦労しながら、どうして助けてくれなかったの、と愚痴を言うと、九曜千世はこう答えた。 「どうせ私は無口で無神経な石のような女ですから」 「すぐそういうこと言うんだから」 実夏は斜め後ろを振り返ったが、ふだんから感情の読みにくいツリ目の少女は、まったく表情を動かさずに、無言で見返してきただけだっ...

どきどき☆スイーツ・パニック(その2-1-4) 17 May 2011 | 01:46 am

「そして、不完全な力を補うために、<迷宮図書館>に収蔵された<法具>を狙った。可能性として、十分にあり得る話だと思いませんか?」 確かに筋は通っていた。人に迷惑をかけることが三度のおやつより大好きで、迷惑をかける相手が<能力者>もしくは生徒会の人間であれば、おやつ六回分で喜んで手を打つ蘭なら、ひょっとしたらやりかねないと、実夏ですら思う。それでも―― 「思いません」 「あら」 実夏が断言す...

どきどき☆スイーツ・パニック(その2-1-3) 16 May 2011 | 12:22 am

「あなたは、事件の起こった時刻も、二人と一緒に?」 「いえ。わたしと九曜は寮に戻っていました」 「そして、あの二人は部室に残っていた?」 「いつものことです。楠木は部室で寝泊まりしているので」 「二人を最後に見たのはいつです」 「寮に帰る前の夕方ですから、午後4時から5時の間です」 「では、事件が起こった午後11時から、19日の午前0時半にかけて、二人がどこにいたか、あなたは知らないの...

どきどき☆スイーツ・パニック(その2-1-2) 15 May 2011 | 12:39 am

「そして、彼女の主人であるあなたの耳には、当然、九曜さんの入手した情報がすべて入ってくる。違いますか?」 「誤解です。ご承知かと思いますが、彼女の口の固さは筋金入りです。裏で何かが起こっているときでも、わたしに教えてくれたためしがありません」 実夏が答えるにつれて、斜め後ろから発される気配は、明らかに剣呑な方向へ変化していていたが、実夏は気がつかないふりをした。 副会長に影響された――という...

どきどき☆スイーツ・パニック(その2-1-1) 13 May 2011 | 11:45 pm

――小人閑居して不正をなす、と言いますから。 そう言ったのは久慈院副会長で、あれは、夏休みの始まる前日の昼下がり、生徒会執務室での出来事だった。 「……では、事件のことはなにも知らないと?」 そのとき、実夏は、夏服の半袖ブラウスにスカートという格好で、副会長の前に立っていた。 副会長は、実夏に目もくれずに、革張りの役員椅子に腰掛け、マホガニーの執務机に整然と積まれた書類の山から一枚取り上げ...

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